タトゥー除去の主な方法とは?

タトゥー除去には、主にレーザー治療、外科的切除、皮膚移植、剥皮術(ダーマアブレーション)など複数の方法があります。これらの方法は、タトゥーの大きさ、色、深さ、患者さまの肌の状態、そして除去後の仕上がりの希望によって選択されます。
当院では、タトゥー除去を希望される患者さまのほとんどが、肌への負担が比較的少なく、広範囲のタトゥーにも対応しやすいレーザー治療を選択されます。特に、最近ではピコ秒レーザーの普及により、より少ない回数で効果を実感される方が増えています。
- ピコ秒レーザー
- レーザー光の照射時間がピコ秒(1兆分の1秒)単位と極めて短いレーザー機器です。短い時間で高いエネルギーを照射することで、タトゥーのインク粒子をより細かく破砕し、体外への排出を促進します。従来のナノ秒レーザー(10億分の1秒)に比べて、少ない治療回数で効果が期待でき、熱による肌へのダメージも抑えられるとされています[3]。
レーザー治療
レーザー治療は、タトゥー除去において最も一般的で効果的な方法の一つです。特定の波長のレーザー光をタトゥーのインクに照射し、インク粒子がそのエネルギーを吸収して熱膨張し、微細な破片に粉砕されます。粉砕されたインク粒子は、体内のマクロファージ(免疫細胞の一種)によって捕食され、リンパ系を通じて体外へ排出されることで、タトゥーが徐々に薄くなっていきます[1]。
- Qスイッチレーザー(ナノ秒レーザー): 従来の主流であったレーザーで、ナノ秒単位の短いパルス幅でインクを破壊します。黒や濃い色のタトゥーに特に有効です。
- ピコ秒レーザー: さらに短いピコ秒単位のパルス幅でインクを破壊します。ナノ秒レーザーでは除去が難しかった多色タトゥーや、薄くなったタトゥーの残存色素にも効果が期待でき、治療回数の短縮やダウンタイムの軽減にも寄与するとされています[3]。
レーザー治療は非侵襲的(皮膚を切開しない)であるため、傷跡が残りにくいという利点があります。ただし、複数回の治療が必要であり、完全にインクを除去できない場合や、一部の色が残りやすい場合もあります。
外科的切除
外科的切除は、タトゥーのある皮膚を直接切除し、縫合する方法です。比較的小さなタトゥーや、レーザー治療で効果が得られにくいタトゥーに対して選択されることがあります。一度の治療でタトゥーを除去できるという利点がありますが、切除した部分には線状の傷跡が残ります。タトゥーが大きい場合は、複数回に分けて切除したり、皮膚移植を併用したりすることもあります。
皮膚移植
皮膚移植は、タトゥーのある部分の皮膚を切除し、体の他の部分(太ももの内側など)から採取した皮膚を移植する方法です。広範囲にわたる大きなタトゥーや、火傷跡のように皮膚が広範囲に損傷している場合などに適用されます。傷跡は残りますが、タトゥーを確実に除去できます。ただし、移植した皮膚の色や質感が周囲の皮膚と異なる場合があり、ドナーサイト(皮膚を採取した部位)にも傷跡が残ります。
剥皮術(ダーマアブレーション)
剥皮術は、皮膚の表面を削り取ることでタトゥーを除去する方法です。機械的なブラシや研磨器具を用いて、タトゥーのインクを含む表皮や真皮の一部を物理的に除去します。この方法は、比較的浅いタトゥーや、レーザー治療が難しい場合に検討されることがありますが、傷跡が残りやすく、色素沈着や色素脱失のリスクも伴います。現在では、より安全で効果的なレーザー治療が主流であるため、選択されるケースは少なくなっています。
| 治療方法 | 主な特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| レーザー治療 | 特定の波長でインクを破壊 | 非侵襲的、傷跡が残りにくい | 複数回治療が必要、一部の色が残りやすい |
| 外科的切除 | タトゥー部分を直接切除し縫合 | 一度で除去可能、確実性 | 線状の傷跡が残る、広範囲には不向き |
| 皮膚移植 | タトゥー部分を切除し、他の部位から皮膚を移植 | 広範囲のタトゥーに対応可能、確実性 | 傷跡が残る、移植皮膚の色調・質感の差、ドナーサイトの傷跡 |
| 剥皮術 | 皮膚表面を物理的に削り取る | 比較的浅いタトゥーに適用可能 | 傷跡、色素沈着・脱失のリスク、現在では主流ではない |
タトゥー除去に必要な回数と期間の目安は?
タトゥー除去に必要な回数と期間は、タトゥーの特性、選択する治療方法、そして個人の体質によって大きく異なります。特にレーザー治療の場合、インクの色、タトゥーの深さ、インクの量、彫られた時期、そして使用されたインクの種類が重要な要素となります。
臨床の現場では、初診時に「何回で消えますか?」と相談される患者さまが非常に多いです。正確な回数を事前に断言することは難しいですが、いくつかの要素から目安をお伝えすることは可能です。
タトゥーの特性による影響
- インクの色: 黒いインクはレーザー光を吸収しやすいため、比較的除去しやすいとされています。一方、赤、黄、緑、青などの多色タトゥーは、それぞれの色に反応する異なる波長のレーザーが必要となるため、除去がより困難になる傾向があります[1]。特に緑や青のインクは、除去に時間がかかることが多いです。
- タトゥーの深さ: インクが皮膚のどの深さに注入されているかによって、必要な回数が変わります。深く彫られたタトゥーほど、より多くの治療回数が必要となります。
- タトゥーの大きさ: 広範囲のタトゥーは、一回の治療でカバーできる範囲が限られるため、全体を治療するにはより多くの時間と回数が必要です。
- 彫られた時期: 古いタトゥーほど、インク粒子が体内で分解され始めている場合があり、新しいタトゥーよりも除去しやすいことがあります。
- インクの種類: プロの彫師が使用するインクは均一で除去しやすい傾向がありますが、アマチュアが使用するインクは不純物が多く、除去が難しい場合があります。
レーザー治療における回数と期間の目安
一般的なレーザー治療では、タトゥーの濃さや色にもよりますが、通常5回から10回以上の治療が必要とされます。治療間隔は、皮膚の回復とインク粒子の排出を考慮し、通常1ヶ月半から3ヶ月程度空けることが推奨されます。これは、インクが体外に排出されるまでに時間がかかるためです[1]。
- 黒一色のタトゥー: 5〜10回程度、期間にして1年〜2年半程度が目安となることが多いです。
- 多色タトゥー: 10回以上、期間にして2年半〜3年以上かかることも珍しくありません。特に緑や青は手ごわい色とされています。
ピコ秒レーザーは、ナノ秒レーザーと比較して、より少ない治療回数で効果が期待できると報告されています[3]。例えば、従来のレーザーで10回かかっていたケースが、ピコ秒レーザーでは5〜7回で同程度の効果が得られる可能性もあります。しかし、これはあくまで目安であり、個々のタトゥーの状態によって大きく変動することを理解しておく必要があります。
実際の診療では、治療を始めて数ヶ月ほどで「少し薄くなってきた気がする」とおっしゃる方が多いです。しかし、完全に除去するには根気が必要であり、治療計画を医師としっかり相談することが重要です。
タトゥー除去は、一度で完了するものではなく、複数回の治療と十分な回復期間を要します。治療計画は医師と十分に相談し、現実的な目標設定を行うことが重要です。また、完全に元の肌に戻ることを保証するものではなく、薄い色素沈着や脱失、わずかな質感の変化が残る可能性も考慮する必要があります。
タトゥー除去にかかる費用の目安は?

タトゥー除去にかかる費用は、治療方法、タトゥーの大きさ、色、必要な治療回数、そして選択するクリニックによって大きく異なります。保険適用外の自由診療となるため、クリニックごとに料金設定が異なります。
当院では、患者さまが費用について不安を感じないよう、初診時に詳細な見積もりを提示し、治療の進行状況に応じて費用を明確にしています。特に広範囲のタトゥーの場合、総額が大きくなるため、事前にしっかりと確認していただくことが大切です。
レーザー治療の費用目安
レーザー治療の費用は、一般的にタトゥーのサイズ(面積)に基づいて設定されます。多くのクリニックでは、1cm²あたりの料金や、S・M・Lなどのサイズ区分で料金が設定されています。また、1回あたりの料金と、複数回コースの料金が用意されていることが多いです。
- 1回あたりの料金: 数千円〜数万円程度(タトゥーのサイズによる)
- コース料金(複数回分): 10万円〜50万円以上(タトゥーのサイズや回数による)
例えば、ハガキ大(約100cm²)のタトゥーをレーザーで除去する場合、1回あたり数万円、合計で数十万円かかることが一般的です。ピコ秒レーザーは、従来のQスイッチレーザーよりも1回あたりの費用が高めに設定されていることが多いですが、総治療回数が少なく済む可能性があるため、結果的に総費用が抑えられるケースもあります[3]。
外科的切除・皮膚移植の費用目安
外科的切除や皮膚移植は、手術の内容によって費用が大きく変動します。これらはレーザー治療よりも高額になる傾向があります。
- 外科的切除: 数万円〜数十万円(タトゥーの大きさや切除回数による)
- 皮膚移植: 数十万円〜数百万円(広範囲のタトゥーの場合)
これらの手術費用には、麻酔代、術後の処置代、薬代などが含まれる場合と、別途請求される場合があるため、事前に確認が必要です。
その他の費用
上記以外にも、以下のような費用が発生する可能性があります。
- 初診料・再診料: 数千円程度。
- 麻酔代: レーザー治療では局所麻酔クリームや冷却装置を使用することが多く、別途費用がかかる場合があります。
- 薬代: 治療後の炎症を抑える軟膏や内服薬など。
- アフターケア用品: 紫外線対策のクリームなど。
これらの費用も考慮に入れた上で、総額を把握することが重要です。複数のクリニックでカウンセリングを受け、見積もりを比較検討することをお勧めします。
タトゥー除去の効果を高めるには?
タトゥー除去の効果を最大限に引き出すためには、適切な治療法の選択だけでなく、いくつかの重要なポイントがあります。患者さまが治療に積極的に関わることで、より良い結果に繋がりやすくなります。
診察の中で、患者さまが治療後のケアを丁寧に行うことで、ダウンタイムが短縮され、次の治療にスムーズに進めることを実感しています。特に紫外線対策は非常に重要なポイントになります。
適切な治療法の選択と継続
タトゥー除去の成功は、まず個々のタトゥーの特性に合った治療法を選択することから始まります。医師と十分に相談し、タトゥーの色、深さ、大きさ、そして肌質などを考慮した上で、最適なレーザーの種類(ピコ秒レーザー、Qスイッチレーザーなど)や、外科的治療の可能性を検討しましょう。
一度の治療で完全に除去できることは稀であり、複数回の治療を継続することが不可欠です。治療間隔を守り、焦らず計画的に治療を進めることが、最終的な効果を高める上で重要です[1]。
治療中の注意点とアフターケア
- 紫外線対策: 治療期間中は、治療部位の紫外線対策を徹底することが非常に重要です。紫外線は色素沈着を引き起こし、治療効果を低下させるだけでなく、新たなシミの原因となる可能性があります。日焼け止めクリームの使用や、衣類で覆うなどの対策を心がけましょう。
- 保湿: 治療後の皮膚はデリケートになっているため、保湿をしっかり行うことで肌のバリア機能を保ち、回復を促します。
- 患部を刺激しない: 治療部位を擦ったり、掻いたりすることは避け、清潔に保つようにしましょう。
- 医師の指示に従う: 処方された軟膏や内服薬は、医師の指示通りに使用し、定期的な診察を受けることが大切です。
最新技術の活用
タトゥー除去の分野では、常に新しい技術が開発されています。例えば、アコースティックパルスデバイスを併用することで、レーザー治療の効果を向上させ、より少ない回数でタトゥーの色素を薄くできる可能性が示唆されています[4]。また、インゲノールメブテートなどの薬剤を用いた除去方法も研究されています[2]。これらの最新技術や研究動向について、医師に相談し、自身のタトゥー除去に適用可能か検討することも、効果を高める一つの方法です。
ただし、新しい治療法はまだ臨床データが十分でない場合や、費用が高額になる場合もあるため、メリットとデメリットを十分に理解した上で選択することが重要です。
タトゥー除去のダウンタイムとリスクは?

タトゥー除去の治療を受ける際には、ダウンタイムとそれに伴うリスクを十分に理解しておくことが重要です。特にレーザー治療は非侵襲的とはいえ、皮膚に一時的な変化が生じます。
当院では、治療前にダウンタイムやリスクについて患者さまに詳しく説明し、不安なく治療に臨んでいただけるよう努めています。特に、治療後の適切なケアがリスク軽減に繋がることを強調しています。
レーザー治療のダウンタイム
レーザー治療後のダウンタイムは、治療部位、レーザーの種類、出力設定、個人の肌質によって異なりますが、一般的には以下の症状が見られます。
- 赤み・腫れ: 治療直後から数日間、治療部位に赤みや腫れが生じることがあります。
- 水疱(水ぶくれ): レーザーのエネルギーによって、水疱ができることがあります。これは数日〜1週間程度でかさぶたになり、自然に治癒します。無理に潰さないようにしましょう。
- かさぶた: 水疱ができた場合や、レーザーの種類によっては、数日後にかさぶたが形成されます。かさぶたが自然に剥がれ落ちるまで、無理に剥がさないように注意が必要です。
- 内出血: 稀に内出血が生じることがありますが、これも数週間で吸収されます。
これらの症状は通常、1〜2週間程度で落ち着きます。この期間は、治療部位を清潔に保ち、医師から指示された軟膏を塗布するなどのケアが必要です。また、治療後すぐにシャワーは可能ですが、入浴や激しい運動は、患部の状態に応じて数日間控えるよう指示されることがあります。
レーザー治療のリスク
- 色素沈着・色素脱失: 治療後に一時的に色素沈着(色が濃くなる)や色素脱失(色が白く抜ける)が生じることがあります。色素沈着は時間の経過とともに改善することが多いですが、色素脱失は改善に時間がかかったり、永続的になったりする可能性もあります。適切な紫外線対策と保湿がリスク軽減に繋がります。
- 瘢痕(傷跡)形成: 非常に稀ですが、レーザーの出力が強すぎたり、治療後のケアが不適切であったりすると、ケロイドや肥厚性瘢痕といった傷跡が残る可能性があります。
- アレルギー反応: タトゥーインクの成分に対するアレルギー反応が、レーザー照射によって誘発されることがあります。
- 完全な除去が困難: 特に多色タトゥーや、インクの種類によっては、完全に除去することが難しい場合があります。薄くはなるものの、わずかに色が残る可能性も考慮する必要があります。
外科的切除・皮膚移植のダウンタイムとリスク
外科的切除や皮膚移植は、メスを使用する手術であるため、レーザー治療よりもダウンタイムが長く、リスクも異なります。
- ダウンタイム: 術後数日間は痛みや腫れがあり、抜糸まで1〜2週間程度かかります。完全に傷が落ち着くには数ヶ月から1年以上かかることもあります。
- リスク: 縫合部の感染、傷跡の肥厚、ケロイド形成、引きつれ、皮膚移植片の生着不全、ドナーサイトの傷跡などが挙げられます。
いずれの治療法を選択するにしても、メリットとデメリット、ダウンタイムとリスクを十分に理解し、信頼できる医療機関で経験豊富な医師と相談することが最も重要です。
まとめ
タトゥー除去は、タトゥーの特性(色、大きさ、深さ、インクの種類)や選択する治療法によって、必要な回数、期間、費用が大きく変動します。主流であるレーザー治療では、特にピコ秒レーザーの登場により、より少ない回数で効果が期待できるようになりましたが、一般的に複数回の治療と数年単位の期間を要します。費用は自由診療のためクリニックによって異なり、タトゥーのサイズや治療回数に応じたコース料金が設定されていることが多いです。
治療効果を最大限に引き出すためには、適切な治療法の選択、治療中の紫外線対策や保湿などのアフターケア、そして医師の指示に従った継続的な治療が不可欠です。また、治療には赤み、腫れ、水疱、色素沈着、瘢痕形成などのダウンタイムやリスクが伴うため、事前に十分な説明を受け、理解した上で治療計画を立てることが重要です。
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よくある質問(FAQ)
- Ivan Kurniadi, Farida Tabri, Asnawi Madjid et al.. Laser tattoo removal: Fundamental principles and practical approach.. Dermatologic therapy. 2021. PMID: 33068020. DOI: 10.1111/dth.14418
- Sarah-Jane Cozzi, Thuy T Le, Steven M Ogbourne et al.. Tattoo removal with ingenol mebutate.. Clinical, cosmetic and investigational dermatology. 2020. PMID: 28579816. DOI: 10.2147/CCID.S135716
- Ofer Reiter, Lihi Atzmony, Lehavit Akerman et al.. Picosecond lasers for tattoo removal: a systematic review.. Lasers in medical science. 2017. PMID: 27311768. DOI: 10.1007/s10103-016-2001-0
- Michael S Kaminer, Christopher C Capelli, Mona Sadeghpour et al.. Increased Tattoo Fading in a Single Laser Tattoo Removal Session Enabled by a Rapid Acoustic Pulse Device: A Prospective Clinical Trial.. Lasers in surgery and medicine. 2021. PMID: 31536162. DOI: 10.1002/lsm.23163
