- ✓ ピコレーザーのダウンタイムは比較的短く、施術内容により数時間〜1週間程度が目安です。
- ✓ 施術後の適切な保湿、紫外線対策、摩擦回避が合併症予防と効果の最大化に重要です。
- ✓ 施術後の異常を感じた場合は、速やかに医療機関に相談することが大切です。
ピコレーザーとは?その特徴とダウンタイムの基本

ピコレーザーとは、従来のレーザーよりもさらに短い「ピコ秒(1兆分の1秒)」という極めて短いパルス幅でレーザーを照射する医療機器です。この技術により、熱作用を最小限に抑えつつ、標的となる色素(メラニンなど)を瞬時に破壊することが可能となり、シミ、そばかす、肝斑、アザ、タトゥー除去など幅広い皮膚疾患の治療に用いられています[1]。
ピコレーザーは、その短いパルス幅から、熱による周辺組織へのダメージが少なく、ダウンタイムが比較的短いという特徴があります。当院では、シミや肝斑でお悩みの方から「以前のレーザー治療でダウンタイムが長くて大変だった」というお声を聞くことがありますが、ピコレーザーではその負担が軽減されることを実感される患者さまが多くいらっしゃいます。
ピコレーザーの種類とダウンタイムの違い
ピコレーザーには、主に「ピコスポット」「ピコトーニング」「ピコフラクショナル」の3つの照射モードがあり、それぞれダウンタイムの程度が異なります。
- ピコスポット
- 特定のシミやアザ、タトゥーなど、濃い色素斑に集中的に高出力のレーザーを照射する治療です。メラニン色素を強力に破壊するため、ダウンタイムが最も長く、かさぶたや赤みが生じやすい傾向があります。
- ピコトーニング
- 低出力のレーザーを顔全体に均一に照射することで、肌全体のトーンアップや肝斑、薄いシミの改善を目指す治療です。熱作用が少ないため、ダウンタイムはほとんどなく、メイクも当日から可能な場合が多いです。
- ピコフラクショナル
- 点状に高密度のレーザーを照射し、皮膚の深部に微細な空洞(LIOB: Laser-Induced Optical Breakdown)を形成することで、コラーゲンやエラスチンの生成を促進し、肌のハリや毛穴、ニキビ跡の改善を目指す治療です。赤みや腫れが生じますが、数日〜1週間程度で落ち着くことが多いです[2]。
それぞれのモードにおける一般的なダウンタイムの目安を以下の表にまとめました。
| 照射モード | 主な目的 | ダウンタイム目安 | 主な症状 |
|---|---|---|---|
| ピコスポット | 濃いシミ、アザ、タトゥー除去 | 1週間〜2週間(かさぶた形成) | 赤み、腫れ、かさぶた、色素沈着 |
| ピコトーニング | 肝斑、薄いシミ、肌のトーンアップ | ほぼなし(数時間〜半日程度の赤み) | 軽度の赤み、ほてり |
| ピコフラクショナル | 毛穴、ニキビ跡、肌のハリ改善 | 数日〜1週間 | 赤み、腫れ、点状出血、ざらつき |
ダウンタイムの期間や症状には個人差があり、肌質や施術範囲、出力設定によっても変動します。実際の診療では、患者さまの肌の状態やライフスタイルを考慮し、最適な治療プランとダウンタイムの見込みを詳しく説明することを心がけています。
ピコレーザー施術後の一般的な経過と症状は?
ピコレーザー施術後の肌は、レーザーによる刺激を受けて一時的にデリケートな状態になります。症状の出方や期間は、前述の照射モードによって大きく異なりますが、ここでは一般的な経過と注意すべき症状について解説します。
照射モード別の症状と経過
- ピコスポットの場合
施術直後:照射部位に一致した赤みや腫れ、軽いヒリヒリ感が生じます。シミが一時的に濃く浮き出たように見えることもあります。
数日後:赤みが落ち着き始め、照射部位にマイクロクラストと呼ばれる薄いかさぶたが形成されます。これは色素が破壊され、皮膚のターンオーバーによって排出される過程です。
1週間〜2週間後:かさぶたが自然に剥がれ落ち、新しい皮膚が露出します。この際、一時的に炎症後色素沈着(PIH)が生じることがありますが、多くの場合、数ヶ月で徐々に薄くなっていきます。 - ピコトーニングの場合
施術直後:ほとんどの場合、目立った変化はありませんが、ごく軽度の赤みやほてりを感じる方もいます。数時間〜半日程度で落ち着くことがほとんどです。
数日後〜:特に目立ったダウンタイム症状はなく、日常生活に支障をきたすことは稀です。複数回施術を重ねることで、徐々に肌のトーンアップやシミの薄化が期待できます。 - ピコフラクショナルの場合
施術直後:顔全体に赤みや腫れが生じ、ざらつきや点状出血が見られることがあります。ヒリヒリとした熱感を感じることもあります。
数日後:赤みや腫れは徐々に引いていきますが、ざらつきは数日続くことがあります。点状出血は薄いかさぶた状になり、自然に剥がれ落ちます。
1週間後:ほとんどの症状が落ち着き、肌のハリやツヤの改善を実感し始める方もいます。
注意すべき症状と合併症
ピコレーザーは比較的安全性の高い治療ですが、稀に以下のような合併症が生じる可能性があります。
- 炎症後色素沈着(PIH): レーザー照射による炎症反応が原因で、一時的にシミが濃くなることがあります。特にアジア人の肌では発生しやすいとされています。適切なケアと時間経過で改善することが多いですが、稀に長引くこともあります。
- 水疱・かさぶた: 高出力での照射や肌の感受性によっては、水疱やかさぶたが大きく形成されることがあります。無理に剥がさず、自然に剥がれ落ちるのを待つことが重要です。
- 感染症: 施術部位が清潔に保たれていない場合や、かさぶたを無理に剥がした場合などに、細菌感染のリスクがあります。
- 瘢痕形成: 極めて稀ですが、深い傷跡が残る可能性があります。
臨床の現場では、炎症後色素沈着を心配される患者さまも少なくありません。当院では、施術前から適切なスキンケア指導を行い、施術後には美白剤の処方や、必要に応じて内服薬の併用を提案することで、このリスクを最小限に抑えるよう努めています。万が一、症状が長引いたり、悪化したりする場合には、速やかに施術を受けた医療機関に相談することが重要です。
施術後の異常な痛み、強い腫れ、水疱の拡大、膿の発生などが見られた場合は、自己判断せずにすぐに医療機関を受診してください。
ピコレーザー施術後の適切なケア方法は?

ピコレーザーの効果を最大限に引き出し、合併症のリスクを低減するためには、施術後の適切なケアが不可欠です。特に「保湿」「紫外線対策」「摩擦回避」の3点が重要となります。
1. 保湿ケアの徹底
レーザー照射後の肌は、一時的にバリア機能が低下し、乾燥しやすくなっています。乾燥は肌の炎症を悪化させ、色素沈着のリスクを高める可能性があるため、徹底した保湿が重要です。
- 保湿剤の選び方: 低刺激性で、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分が配合されたものを選びましょう。施術部位に刺激を与えないよう、優しく塗布してください。
- 塗布方法: 洗顔後や入浴後など、肌が清潔な状態の時に、たっぷりと保湿剤を塗布します。乾燥が気になる場合は、1日に数回重ね塗りしても構いません。ピコスポットの場合は、保護テープの上からでも保湿は可能です。
実際の診療では、施術後数日間は特に念入りな保湿を患者さまにお願いしています。保湿を怠ると、かさぶたが乾燥して剥がれやすくなったり、肌のつっぱり感が増したりするケースをよく経験します。
2. 紫外線対策の徹底
レーザー照射後の肌は、紫外線の影響を受けやすくなっています。紫外線は炎症後色素沈着を悪化させる最大の要因の一つであり、せっかくの治療効果を損なう可能性があります。
- 日焼け止めの使用: SPF30以上、PA+++以上の広範囲スペクトラムの日焼け止めを毎日使用し、2〜3時間ごとに塗り直しましょう。低刺激性のものを選ぶことが推奨されます。
- 物理的な遮光: 日傘、帽子、サングラス、マスクなどを活用し、物理的に紫外線を遮断することも非常に効果的です。
特にピコスポット後の色素沈着予防には、紫外線対策が極めて重要です。当院では、施術後最低1ヶ月間は徹底した紫外線対策を指導しており、これを守っていただくことで良好な経過をたどる患者さまがほとんどです。
3. 摩擦・刺激の回避
施術後の肌はデリケートなため、物理的な刺激を避けることが大切です。
- 洗顔: 刺激の少ない洗顔料を使用し、泡で優しく洗うようにしましょう。ゴシゴシ擦ることは避けてください。
- メイク: ピコスポットの場合、かさぶたが剥がれるまではメイクを避けるか、保護テープの上から軽く行うことを推奨します。ピコトーニングやピコフラクショナルの場合は、当日からメイク可能なことが多いですが、肌に負担をかけないよう注意しましょう。
- その他: ピーリングやスクラブ、レチノール配合の化粧品など、刺激の強いスキンケア製品の使用は、施術後1〜2週間は避けるべきです。
ダウンタイム中の日常生活の注意点とは?
ピコレーザーのダウンタイム中は、肌の回復を促すために日常生活においてもいくつかの注意が必要です。これらを遵守することで、トラブルを避け、治療効果を最大限に引き出すことができます。
入浴・洗顔・メイクについて
- 入浴: 施術当日は、シャワーのみとし、湯船に浸かるのは翌日以降にしましょう。長時間の入浴やサウナなど、血行を促進しすぎる行為は、赤みや腫れを悪化させる可能性があるため、ダウンタイム中は避けるのが賢明です。
- 洗顔: 施術当日から可能です。ただし、刺激の少ない洗顔料をたっぷりの泡で優しく洗い、ぬるま湯で丁寧にすすぎましょう。タオルでゴシゴシ拭くのではなく、清潔なタオルで軽く押さえるように水分を拭き取ってください。
- メイク: ピコトーニングやピコフラクショナルの場合は、施術当日からメイクが可能です。しかし、ピコスポットの場合、照射部位にかさぶたや保護テープがある間は、できるだけメイクを避けるか、保護テープの上から軽くメイクをする程度に留めましょう。かさぶたが剥がれた後は、通常通りメイクができますが、肌への刺激を最小限に抑えるよう心がけてください。
運動・飲酒・喫煙について
- 運動: 激しい運動は血行を促進し、赤みや腫れを悪化させる可能性があるため、施術後2〜3日は避けましょう。軽いウォーキング程度であれば問題ないことが多いですが、医師の指示に従ってください。
- 飲酒: 飲酒も血行を促進し、炎症を悪化させる可能性があるため、施術後2〜3日は控えることが望ましいです。
- 喫煙: 喫煙は血行不良を引き起こし、肌の回復を遅らせるだけでなく、炎症後色素沈着のリスクを高める可能性があります。ダウンタイム中はできるだけ控えることを推奨します。
実際の診療では、施術を始める前に患者さまのライフスタイルを詳しくお伺いし、ダウンタイム中の具体的な過ごし方について個別にアドバイスしています。特に、重要なイベントを控えている患者さまには、施術のタイミングを慎重に検討するようお伝えしています。
ダウンタイムを短縮し、効果を高めるためのポイントは?

ピコレーザーのダウンタイムを短縮し、治療効果を最大限に引き出すためには、いくつかのポイントがあります。これらは、施術後の肌の回復力を高め、理想的な肌状態へと導くために非常に重要です。
クリニック選びと医師の技術
ピコレーザーは高度な医療機器であり、その効果は施術を行う医師の知識と経験に大きく左右されます。
- 適切な診断と設定: 患者さまの肌質、シミの種類、深さなどに応じて、最適な照射モードや出力設定を正確に判断できる医師を選ぶことが重要です。不適切な設定は、効果が低いだけでなく、合併症のリスクを高める可能性があります。
- 丁寧な施術とアフターケア: 施術中の丁寧な照射はもちろん、施術後の経過観察や適切なアフターケア指導も、ダウンタイムの短縮と効果の最大化には不可欠です。
実際の診療では、初診時に「以前他院で施術を受けたが、効果が実感できなかった」「ダウンタイムが予想以上に長かった」と相談される患者さまも少なくありません。これは、肌の状態に合わない設定や、施術後のケア指導が不十分であったことが原因であるケースが多いです。当院では、患者さま一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療計画と丁寧な説明を心がけています。
内服薬や外用薬の併用
ダウンタイムの短縮や治療効果の向上を目的として、内服薬や外用薬を併用することがあります。
- トラネキサム酸・ビタミンCなどの内服薬: 炎症後色素沈着の予防や美白効果を目的として処方されることがあります。特に肝斑治療では、ピコトーニングとトラネキサム酸の内服を併用することで、より高い効果が期待できるとされています。
- ハイドロキノン・トレチノインなどの外用薬: シミの再発予防や、既存の色素沈着の改善を目的として、ダウンタイムが落ち着いた後に使用を推奨されることがあります。これらの薬剤は肌に刺激を与える可能性があるため、医師の指導のもとで慎重に使用することが重要です。
これらの補助療法は、レーザー治療の効果をサポートし、より早く美しい肌へと導くための重要な要素です。診察の中で、患者さまの肌の状態や目標に合わせて、最適な併用療法を提案することを実感しています。
栄養バランスの取れた食事と十分な睡眠
肌の回復力は、全身の健康状態に大きく左右されます。バランスの取れた食事と十分な睡眠は、肌のターンオーバーを正常に保ち、ダウンタイム中の回復を早めるために不可欠です。
- 食事: タンパク質、ビタミン(特にビタミンC、E)、ミネラル(亜鉛など)を積極的に摂取しましょう。これらは肌の再生や抗酸化作用に重要な役割を果たします。
- 睡眠: 睡眠中に成長ホルモンが分泌され、肌の修復が促進されます。質の良い睡眠を十分にとることで、肌の回復力を高めることができます。
実際の診療では、治療効果を最大化するために、外からのケアだけでなく、内側からのケアも重要であることを患者さまにお伝えしています。健康的な生活習慣は、肌だけでなく全身の健康にも繋がるため、長期的な美肌維持に貢献します。
ピコレーザー施術後のダウンタイムやケアに関して、患者さまからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
まとめ
ピコレーザーは、シミや肝斑、毛穴、ニキビ跡など、さまざまな肌悩みに対応できる効果的な治療法です。その特徴は、従来のレーザーに比べてダウンタイムが比較的短い点にありますが、照射モードによって症状や期間は異なります。
ピコスポットでは数日〜2週間程度のかさぶた形成、ピコトーニングではほぼダウンタイムなし、ピコフラクショナルでは数日〜1週間程度の赤みやざらつきが一般的です。施術後の経過を良好に保ち、効果を最大限に引き出すためには、徹底した保湿、紫外線対策、そして肌への摩擦や刺激を避けることが非常に重要です。
また、ダウンタイム中の日常生活では、入浴や運動、飲酒、喫煙にも注意が必要です。適切なクリニック選びと医師の技術、そして内服薬や外用薬の併用、さらには栄養バランスの取れた食事と十分な睡眠といった、内側からのケアも回復を早め、より良い結果に繋がります。もし施術後に異常を感じた場合は、速やかに医療機関に相談し、適切な処置を受けるようにしましょう。
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よくある質問(FAQ)
- Diala Haykal, Hugues Cartier, David Goldberg et al.. Advancements in laser technologies for skin rejuvenation: A comprehensive review of efficacy and safety.. Journal of cosmetic dermatology. 2024. PMID: 39158413. DOI: 10.1111/jocd.16514
- Lynhda Nguyen, Stefan W Schneider, Katharina Herberger. [Picosecond lasers in dermatology].. Dermatologie (Heidelberg, Germany). 2023. PMID: 37099130. DOI: 10.1007/s00105-023-05144-3
- アルツディスポ(ヒアルロン)添付文書(JAPIC)
